クレヨン社

砂の迷路



風に蹴り上げられた白いビニールが ノラ猫のように夜に舞い立つ
ビルとビルのすき間を吹き抜ける風が 老いた犬のなき声に聞える
路地に転がる破れたグラビア雑誌は どうでもいいゴシップが渦まき
飽きるほど残酷な写真を見せつけ うぬぼれた話ばかりあふれる


  僕が知りたいのは そんな事じゃなくて
  もっともっと本当の事が まだ隠されてるだろう


僕はギリギリのところでジタンダを踏む 嘘のにおいが深くたちこめる
目隠しされて海を泳いでくように あてにできるものなんて何もない


ネオン管はクモの巣のようにはりめぐり 考える事をけだるくさせる
だんだん何にも感じなくなってゆくよ このままではいつかガレキになる


  僕を駆り立てるものを さがし出したいだけ
  もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ


ニュースはラジオからテレビからこぼれて 砂のように目の前に積もって
砂は僕のひざに……胸に……口に……耳に……もうすぐ埋もれようとしている
目を閉じたらそれは僕の最後になる あきらめたらもう動けなくなる
本気で生きたいとまだ思えるならば 失くしかけた光が見えるだろう


  僕を駆り立てるものを さがし出したいだけ
  もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ






(-クレヨン社/地球のうた/作詞・作曲:柳沼由紀枝/編曲:加藤秀樹-より)