雨ニモマケズ 宮沢賢治:作
(手帳より・十一月三日)



雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク決シテ瞋ラズ
イツモシズカニワラッテイル
一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ小サナ萱ブキノ小屋ニイテ
東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ
南ニ死ニソウナ人アレバ行ッテコワガラナクテモイイトイイ
北ニケンカヤソショウガアレバツマラナイカラヤメロトイイ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズクニモサレズ
ソウイウモノニワタシハナリタイ




先日の東北旅行のとき、バスガイドさんが暗誦してくれた。
勿論有名でよく知っていたのだが(宮沢賢治は大好きなので)
地元の言葉でゆるりと歌われたせいなのか、
私のココロの何かに触れたのか、涙がこぼれそうになった。
私は「ソウイウヒトニナリタイ」のではないと思う。
でもこの詩の嘘のない純粋な気持ちが
素朴な方言でものすごく伝わってきた。
ソウイウヒトニナリタイって思えるようなヒトになりたかったな、
とは思う。

余談だが、(これもバスガイドさんに教わったのだが)
ここでは「ヒデリノトキハ」と書いているが、
実際は「ヒドリノトキハ」となるらしい。
というのも、盛岡は山が多い国なので、「ヒデリ」になることは
滅多になく、どちらかと言えば「冷夏」の被害に遭うことの方が
おおいそうだ。
よって、「冷夏の被害によってヒドリ(いわゆるアルバイト)に
でるときは」が正しい解釈、とのことだった。
ひとつ勉強になったなぁ・・・。